迷って入った目医者さん

糖尿による眼底への変異がないか、年に2回程度の頻度で検査を受けていた。先日、循環器の主治医よりそろそろ眼科を受診するように言われ、今日受けてきた。
僕は時々記憶がリセットされる。たとえば、バスタオルの位置、我が家は5人家族で5枚のタオルが、タオルハンガーにかかっている。いつも使っているのに、何番目が僕のハンガーなのか分からなくなることがある。タオルだけではない。時々、そんな経験をしている。
今日はいつも通り眼科に行くつもりで、駅まで行って線路のこちら側の通りを歩いていた。いつもの眼科がない、その代わりに、初めて見た眼科の看板があった。よく考えると、いつもの眼科は、線路の向こうにある。
まあ、いいかと思い、新しく見つけた眼科に入った。若干ではあるが自宅に近いのも、後ろから僕の背中を押したんだと思う。
待ち時間はほとんどなく、視力の検査から始まる。ああ、また視力検査からか、と思いながらも、どこまで見えるのかと、裸眼、メガネ着眼で測定をしてもらった。複視があるのですっきりとは行かないが、それでも両目ともに1.2のマークまでみることができた。
そして、医師の診察があり、眼底検査の撮影を行う。
ごくごく普通の光景だ、眼科にありそうな。
パソコンの画面には、球体になった僕の眼球が映っている。ほとんど患者のいない医院にはにつかわしくない、高そうな、システムだった。
「すごいですね」と僕
「車をベンツにするくらいなら、こっちにお金をかけたほうがいいですよ」と医師
「僕の趣味でもあるし、患者さんも喜んでくれるからね」と医師
誰と話しても、ほとんど相手がしゃべっている。今日もそうだった。
「左右の神経のパターンが違うと問題があることが多いんですよ」
「そうなんですか」と僕
「きちんと見ておきましょうね」
確かに映像で見せられた僕の神経は左右の形状がかなり異なっている。
そして、医師と僕の対話はこの後、1時間ほど続く
・・・
インシュリンの量が多いですね」
・・・
「メガネの度が合ってないですね」
絵を描いて説明してくれる。
・・・
「体重を減らさないと、幸せな10年後はないですよ」
・・・
「ジムは続かないですよ」
・・・
などなど、他の患者さんが待っているにもかかわらず。
待っている患者さんは、長いなと、思っていただろう。

僕が思うに、路地裏の町医者である眼科医に、さほど珍しい患者はいないのではないか。僕の場合は、糖尿、しかもインシュリンの4回打ち、高血圧、突発性難聴から難聴と耳鳴り、他にもいろいろな症状がある。重傷ではないものの、そこそこに興味をそそる人間だったのではないだろうか。

さて、僕にとっては、新しい医師に出会えてよかったと思う。今までの医者よりは、丁寧に見てくれたと思う。通常は、目薬をさして瞳孔を開いてから眼底をみるそうだ。人間ドックを含め、今までの医院では、目薬をさしてもらったことはない。

記憶が飛んで、路地裏で、新しいお医者さんと出会う、そんなことがあってもいいのではないだろうか。

P.S.
医師から、宿題がでた、
「家の中で運動をして下さい。胸筋と大腿筋を鍛えなさい。週に3回、腕立て伏せと、スクワットをしなさい」
と言うことだった。
方法は、インターネットで調べなさい。

最近にない、面白い日だった。